プレスリリース

平成19年6月19日

報道発表資料

セラミックス製細胞培養担体を開発

コバレントマテリアル株式会社

1.概要

コバレントマテリアル株式会社は、医療・ライフサイエンス分野で期待される、未分化のES細胞を培養可能なセラミックス製細胞培養担体の製造技術を開発しました。さらに、本製造技術では微細加工をほとんど行わないことで、細胞培養担体の生産性を飛躍的に高めることができ、お客様に担体の安定供給を可能と致しました。 創薬分野などで重要な動物実験に替わる、体外での薬物代謝や毒性評価に使用できる細胞アレイなどへの応用が考えられます。

2.開発の背景

様々な細胞や組織に分化できるES細胞を創薬の毒性評価や再生医療に利用するためには未分化状態を維持した均一なES細胞が大量に必要となります。 これまでの平面培養では未分化状態を維持するために動物細胞(feeder細胞(注1))などを使い共培養する必要がありましたが、再現性、安全性さらにコロニー制御(注2)の面から問題がありました。
一方、三次元的に限られた空間でES細胞を培養すると未分化状態を維持し易いことが最近わかってきました。

3.具体的な開発内容

今回開発しましたセラミックス製細胞培養担体は直径13mm程度の円板形状のセラミックス板に直径100マイクロ(マイクロは百万分の一)メートルであれば約5000個の穴を規則的に形成しています。穴の直径や深さは制御可能で材質もアパタイト、アルミナ、ジルコニア、チタニアと選択可能で、培養する細胞にとって住みやすいセラミックス材料と形状を作製できます。
当社の材料および製造技術を基に、信州大学医学部組織発生学講座(佐々木克典教授)との共同開発を進めました。その結果、マウスES細胞を直接セラミックス製細胞培養担体に播種し、三次元培養したところ、均一かつ未分化状態のコロニーを形成できることが確認できました。

4.今後の展開

コバレントマテリアル株式会社では今回開発したセラミックス製細胞培養担体のサンプル提供を開始します。また、6月20日〜22日に東京ビックサイトで開催される国際バイオEXPOには各種セラミックスおよび石英マイクロ流路などのバイオ関連の新規開発商品を集め出展します。今後は複合的なバイオ機能素材の供給を展開することで医療・ライフサイエンス分野での市場開拓を進めて参ります。

問い合せ先

〒 257-8566 神奈川県秦野市曽屋30番地
コバレントマテリアル株式会社 事業開発本部 新事業推進部 商品開発グループ
E-mail info.bio@covalent.co.jp
電話 0463-84-6613 FAX 0463-81-1984

用語説明

(注1)feeder細胞
ES細胞を育てる細胞のこと
(注2)コロニー制御
単一細胞が複数集まった細胞塊の大きさ、形を揃えること

特長

  • 均一な細胞塊を作製可能
  • 特殊なコーティングなしで細胞をセラミックス担体に接着可能
  • 100〜1000μmの細胞居住空間を作製可能

<図表の説明>

培養3日目のマウスのESコロニー写真
図1. 培養3日目のマウスのESコロニー

製品外観写真
図2. 製品外観図

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