炭素短繊維と炭化珪素セラミックスの複合材料を開発しました。セラミックスの長所である軽量・高強度・耐熱性を維持しながら、脆いという短所を繊維で補い、擬延性破壊挙動により「割れを制御するセラミックス」を実現しました。

機能・特徴

軽量性,比剛性,比強度
耐熱合金等の金属材料や鉄と比較し半分以下の重量になります。
さらに高い比剛性であり、構造材料の軽量化・小型化に貢献できます。
耐衝撃性,耐熱衝撃性
熱衝撃:Δt>1000 ℃ 従来のモノリシックセラミックスでは割れてしまう環境に適応できます。 耐熱性:炭素繊維、炭化珪素で構成されており、1000℃以上に耐えます。
低コスト・量産性
従来の複合材料よりも低コスト、量産性のある材料設計を目指し、特殊な方法でマトリックスを形成しています。
摺動材への適用
摺動特性を付与する研究も進めています。

材料特性

技術解説

複合化技術
外部から衝撃を受けるとセラミックスにはクラックが生じます。一般的なセラミックスにおけるクラックの伝播は粒界、粒内へと直線的になります。繊維強化複合材料の場合、衝撃によるクラックは各繊維に沿って走り、エネルギーは分散されます。この時、繊維とSiCに隙間が生じ繊維はSiCから徐々に引き抜かれるため「瞬時に破断しない」現象が発現されます。

破断面
繊維強化複合材料の破断面です。何本もある棒状の組織が炭素繊維になります。衝撃によるクラックは各繊維に沿って走り、エネルギーは分散されます。その為複雑な破断面形状になります。

用途例

一般産業分野
自動車用ブレーキディスク,鉄道用ブレーキディスク 等摺動摩耗材
宇宙・航空分野
耐熱構造材料
環境・エネルギー分野
熱交換器,熱処理炉 炉内部材,炉芯管,耐熱道具材

外部発表

炭素繊維強化SiCハイブリッド材料の開発(3):ブレーキ特性の評価
町田晃一、青沼伸一朗
日本セラミックス協会 2011年 第24回秋季シンポジウム 講演予稿集、p328,2011年9月
炭素繊維強化SiCハイブリッド材料の開発(3):摩擦摩耗特性
阿南努、青沼伸一朗
日本セラミックス協会 2011年 年会 講演予稿集、p83,2011年3月
炭素繊維強化SiCハイブリッド材料の熱衝撃特性
榎本 浩二、青沼伸一朗
日本セラミックス協会 2010年 年会 講演予稿集、p105,2010年3月
炭素繊維強化SiCハイブリッド材料の特性
榎本 浩二、青沼 伸一朗
日本セラミックス協会 2009年 第22回秋季シンポジウム 講演予稿集、p100,2009年9月

用語解説

モノリシック材料
単一組成の材料。一般的なセラミックスはモノリシックであり、代表的にはAl2O3,SiC等があります。
炭素短繊維
炭素短繊維は炭素長繊維を数十ミリ間隔でカットした短い繊維を示します。一般的にはチョップドファイバと呼ばれます。開発した複合材料は炭素短繊維を使用しています。
比剛性・比強度
強度や剛性を密度で除した値。単位重量に対する特性値であり、この値が大きいほど軽く強くなる。
マトリックス
繊維強化複合材料の組織で繊維以外の部分を示す。

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