私どもクアーズテックは、これまで長年に渡り極めて高い純度が求められる半導体関連製品を開発・製造して参りました。こうした経験を通じて蓄積してきた高度な材料分析技術を元に、新規材料の開発や製造工程の作り込みのための各種材料分析を自社内で行っています。

機能・特徴

弊社分析技術の特徴
弊社は長年に渡って半導体関連の高純度部材を開発・製造して参りましたが、こうした経験を通じて蓄積してきた実践的なノウハウを活かして、以下の様な半導体関連製品メーカーならではの特徴を持った分析技術を保有しています。

【弊社材料分析技術の特徴】
(1)国際半導体技術ロードマップ(ITRS)に対応した高度な分析能力
(2)高純度を求められる製品に関する実践的な分析評価手法
(3)長年の経験に基づいた不具合対策等における分析ノウハウ
実施内容
〔1〕元素分析(湿式化学分析)

〔2〕形態観察/構造解析

〔3〕物性測定

技術解説

一般的な元素分析方法の種類
元素分析には測定部位及び測定対象によって様々な方法が用いられていますが、現在は下表に示す様な分析方法が主流となっています。これらの中で弊社は特にICP-MS(Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry:誘導結合プラズマ質量分析)による金属不純物分析を得意としており、長年の高純度材料の経験を通じて、高精度な分析に欠かせない実践的な前処理技術を開発・蓄積しています。

XPS:X線光電子分光法
SEM:走査電子顕微鏡
EPMA:電子線マイクロアナライザ
TOF-SIMS:飛行時間型二次イオン質量分析法
SIMS:二次イオン質量分析法
ICP-AES:ICP発光分光分析法
GD-MS:グロー放電質量分析法
FT-IR:フーリエ変換型赤外分光法
ICP-MS湿式化学分析の特徴
弊社は金属不純物分析の方法として主にICP-MS(Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry:誘導結合プラズマ質量分析)湿式化学分析を採用しています。このICP-MS湿式化学分析は分析対象を薬液で溶かしてサンプリングした溶液を誘導結合プラズマによってイオン化して質量分析計で定量する分析手法であり、主に下記の様な特徴があります。

(1)超高感度の分析が可能
  表面分析の場合で109atoms/cm2レベルまで検出可能
(2)広範囲の平均データが得られる
  ピンポイントではなく測定対象エリア全面の測定が可能
  (参考)SIMS分析範囲:100μm程度、GD-MS分析範囲:数mm
(3)対象部位に限定した分析が可能
  試薬に溶解可能な材質の場合は、溶解薬液の種類・濃度を選ぶことで表層膜や深さを限定した分析が可能

一方でICP-MS湿式化学分析は、分析対象を薬液で溶解する際やその溶液を取り扱う際に外部から不純物が混入するリスクがあるため、正確な分析を行うためには高純度な環境と前処理に関する経験やノウハウが求められます。
ICP-MS湿式化学分析における前処理方法
〔1〕表面分析
表面分析は、表面や表面酸化膜中に存在する金属不純物を対象とした分析方法です。各材質に対応した分解液を試料に滴下して不純物を抽出し、回収した分解液に必要に応じて濃縮等の処理を施した後、ICP-MSで金属不純物の定量を行います。
〔2〕表層分析
表層分析は、表面から指定の深さ範囲(μmオーダー)に存在する金属不純物を対象とした分析方法です。試料を専用治具にセットし、各材質に対応した分解液を注いで一定時間後に回収し、濃縮した後にICP-MSで金属不純物を定量します。分解液の濃度等を変えることによって、深さをコントロールすることができます。また、この作業を繰り返すことで深さ方向の分布を知ることも可能です。なお、得られる分析値は分析範囲全面の平均値になります。
〔3〕バルク分析
バルク分析は、試料の指定部位を対象とした分析方法です。酸浸漬による分解、加圧酸分解、気相分解があります。特に気相分解は高純度石英やシリコンの金属不純物分析に適した方法で、酸の蒸気中で気相分解した後にICP-MSで定量します。酸を蒸留しながらの分解であることから、バルク分析で問題となり易い汚染の影響を抑えることができるため、非常に高感度な分析が可能です。

用語解説

ITRS(あいてぃーあーるえす International Technology Roadmap for Semiconductors)
国際半導体技術ロードマップの略。アメリカ、ヨーロッパ、日本、韓国、台湾の代表によって構成される、国際半導体ロードマップ委員会が発行する技術ロードマップ。将来の半導体技術動向と、それを実現するための技術課題を15年ほど先まで予測してまとめたもの。
ICP-MS(あいしーぴーます Inductively Coupled Plasma - Mass Spectrometry)
誘導結合プラズマ質量分析の略。誘導結合プラズマ(ICP)を励起源として元素をイオン化させ、質量分析計(MS)で検出する分析法。高電圧と高周波により発生したアルゴンの高温プラズマによって試料元素をイオン化する。発生したイオンは高真空の質量分析部に送られ、検出される。pptレベルの高感度が得られ、多元素同時分析が可能な分析手法。
ICP-AES(あいしーぴーえーいーえすInductively Coupled Plasma - Atomic Emission Spectroscopy)
誘導結合プラズマ発光分光分析法の略。誘導結合プラズマ(ICP)によって励起した元素の発光を測定して定性、定量を行う分析法。高電圧と高周波により発生したアルゴンの高温プラズマによって試料原子を励起させ、基底状態に戻る時の発光スペクトルから定性を、発光強度から定量を行う。多元素同時分析が可能で、ppbレベルまでの比較的広範囲な濃度の分析が出来るという特長を持つ。
MCL(えむしーえる Metal Contamination Level)
半導体ウェーハにおける金属不純物レベル。不純物の金属元素が表面あるいは内部に取り込まれている度合いを表す。表面の場合は、単位面積あたりに存在する原子数(または重量)で表し、内部の場合は、単位体積当たりの原子数(または重量)で表す。
EPMA(イーピーエムエー Electron Probe Micro Analyzer)
電子線マイクロアナライザの略。電子プローブマイクロアナライザとも呼ばれる。電子線を分析対象物に照射し、発生した特性X線を測定することで構成元素の同定を行う装置。特性X線の強度を標準試料と比較することで定量分析も可能であるが、試料の組成や表面状態によって特性X線の強度が変化するため精度は高くない(ZAF値という補正値を用いて、ある程度精度を向上させることは出来る)。電子線を照射して特性X線を検出するという装置構成が走査型電子顕微鏡(SEM)と同一なため、電子顕微鏡の機能も備えた装置が一般的である。
レーザーフラッシュ法(れーざーふらっしゅほう laser flash method)
測定対象物表面にレーザー光を瞬間的に当てて加熱し、裏面の温度変化を時間経過で測定することにより熱拡散率を測定する方法。比熱容量が既知の標準試料があれば比熱容量も測定することができる。熱拡散率と比熱容量から熱伝導率が算出できる。
コールドラン(こーるどらん cold run)
実際のプロセスを行わない運転。熱処理装置では温度を上げない動作試験の事を指す。
石英ガラス(せきえいがらす quartz glass)
高純度の二酸化ケイ素(シリカ。SiO2)からなるガラス。シリカガラスとも呼ばれる。本来「石英」は結晶質の二酸化ケイ素を指すため、シリカガラスの方が名称として正しいが、石英ガラスという呼称が広く浸透しており一般的によく使われている。高純度、耐熱性、耐食性、透明性に優れ、光ファイバー等の光学部材、理化学機器、半導体処理用部材などに使われている。
アルミナ・サファイア(あるみな・さふぁいあ alumina, sapphire)
アルミナは酸化アルミニウム(Al2O3)の通称。研磨剤として使われるほか、優れた電気絶縁性や耐熱性を生かして絶縁碍子や高温炉材としても使われている。その他、人工歯用材や触媒担体など幅広い用途に使用されている。アルミナのうち、コランダム構造の単結晶をサファイアと呼ぶ。高純度なサファイアは無色透明であり、青色・白色LED用基板、精密機械部品、腕時計のカバーガラス等の広い用途に使われている。宝石のサファイアが青色なのは、鉄(Fe)やチタン(Ti)などの不純物を含むためである。
FE-SEM(えふいーせむ Field Emission Scanning - Electron Microscope)
電界放出型(または電界放射型)走査電子顕微鏡の略。電子線源に電界放出型の電子銃を使用する走査電子顕微鏡のことを指す。従来の熱電子を電子線源とする電子顕微鏡よりも高倍率で高解像度の画像が得られる。
FT-IR(えふてぃーあいあーる Fourier Transform - Infrared Spectroscopy)
フーリエ変換型赤外分光法の略。赤外分光法とは、試料に赤外線を当てて吸収された光の波長を測定することで、物質の同定および定量を行う方法。波長の解析は分散型とフーリエ変換型の2種類がある。分散型は波長毎に順次測定する方法で、フーリエ変換型は光を干渉させて干渉パターンをフーリエ変換することで測定する方法。フーリエ変換型は波長毎に順次測定する必要がないため、現在では主流の方法となっている。
ラマン分光(らまんぶんこう Raman spectroscopy)
物質に光を当てた時に散乱される光の中には、入射光と異なる波長で散乱されるものがわずかに存在する。これをラマン散乱と呼ぶ。この現象は、入射した光が物質中の原子や分子の振動や回転とエネルギーをやり取りしたために生じる変化であり、この波長の変化を測定することで分子や結晶の構造を知ることが出来る。
AFM(えーえふえむ Atomic Force Microscope)
原子間力顕微鏡の略。カンチレバー(片持ち梁)の先端に取り付けられた探針と、試料表面の間に働く原子間力を検出して、試料の表面形状を画像化する顕微鏡。原子レベルの凹凸を測定することが出来る。
ビッカース硬さ(びっかーすかたさ Vickers hardness)
硬さの指標の一つ。四角錐のダイヤモンド圧子を押し付けることで出来た圧痕の対角線の長さと、押し付けた荷重から算出される。また、おおよそ荷重1kgf以下で測定するビッカース硬さを、マイクロビッカース硬さと呼ぶ。
ヌープ硬さ(ぬーぷかたさ Knoop hardness)
硬さの指標の一つ。四角錐のダイヤモンド圧子を押し付けることで出来た圧痕の面積と、押し付けた荷重から算出される。ビッカース硬さは圧子の形状が正四角錐なのに対して、ヌープ硬さは断面が菱形の四角錐であるところが異なる。薄膜や厚みが薄い試料を測定するのに適している。
IF法(あいえふほう indentation fracture method)
四角錐のダイヤモンド圧子を押し付けることで出来た圧痕から破壊靭性値を求める方法。圧痕の対角線長さ、圧痕によって生じた亀裂長さ、押し込み荷重及び試料のヤング率から算出される。小さな試験片でも測定可能であることに加えて測定が簡便であるという特徴がある。通常はビッカース硬さの測定で形成した圧痕を使って測定する。
TG-DTA(てぃーじーでぃーてぃーえー Thermo Gravimetry - Differential Thermal Analysis)
TGは、熱重量測定の略。試料を一定の割合で昇温しながら重量を測定する方法。特定の温度での化学変化や脱水などによる重量変化を測定することが出来る。DTAは、示差熱分析の略。試料と測定する温度範囲で安定な標準物質を同時に昇温し、両者の温度差を測定する方法。試料に融解や分解などの物理的、化学的変化が起こると、標準物質との間に温度差が生じるため検出することが出来る。TGとDTAは同時に測定が可能であり、両者を備えた装置をTG-DTAと呼ぶ。
前処理(まえしょり)
金属不純物をICP-MS等の分析機器で測定する前に行う作業(試料の分解や濃縮、測定溶液の調整等)のこと。

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