常圧焼結炭化ケイ素セラミックスであるCERASIC®-Bのチューブを用いた熱交換器は、金属製では使用できない高温域や酸露点以下の低温腐食環境下での使用が可能です。また、CERASIC®-Bの大きな特長である高熱伝導性(170W/m・K)をいかし、金属製熱交換器に比べて高い熱交換効率を実現します。通常の両端固定タイプの熱交換器と異なりシングルエンド型構造であるため、セラミックス製熱交換器で問題となる熱ひずみによる破損を回避できます。

機能・特徴

構造・サイズ
シングルエンド型のCERASIC®-Bチューブを外管とし、その中に金属製の内管を配置する構造です。内管内を流れてきた流体が先端で折り返し、内管と外管の間を通過する際に排ガスとの熱交換がおこなわれます。シングルエンド型構造のため、周辺部材(金属)の熱膨張や熱ひずみの影響による破損を防ぐことができます。

耐熱性
最高使用温度1350℃
耐食性
(1)耐薬品性
CERASIC®-Bは酸やアルカリに対して非常に優れた耐食性を示します。

各種材料との耐薬品性比較

  
(2)HClガスに対する高温耐食性
燃焼炉などから出る排ガス中に含まれるHClガスに対し、同じ炭化ケイ素セラミック材料である反応焼結炭化ケイ素(Si-SiC)では金属シリコン成分が選択的に腐食されますが、CERASIC®-Bはアルミナと同様に高温域まで優れた耐食性を示します。

HClガスに対する高温耐食性(実測結果)

耐圧性
セラミックスは第1種圧力容器として認定されていないため、現時点ではゲージ圧が0.1MPaを超える領域では使用できません。(特認申請計画中)

【3重管方式について】
耐圧性を要求される用途への対処方法として、金属製のシングルエンド型熱交換器にCERASIC®-Bチューブの保護管を組み合わせる3重管方式がありますが、この場合はエンジニアリングメーカーと共同での対応となります。

3重管方式の構造

熱交換性能
CERASIC®-Bチューブは熱伝導率が高いため、熱回収条件にもよりますが金属製に比べて優れた熱交換性能を示します。図はガラス溶解炉の排ガスからの排熱回収の実測データです(日本山村硝子株式会社殿提供)。平均回収熱量は401kcal/min(28kW)が得られ、未利用エネルギーが有効に活用されています。

ガラス溶解炉における実測結果

材料特性

CERASIC®-Bの代表特性

高温曲げ強度
CERASIC®-Bチューブは1500℃まで曲げ強さの温度依存性はなく強度低下は認められません。

温度と3点曲げ強さ(JIS R 1632)の関係

技術解説

低温腐食環境での耐食試験実例
CERASIC®-B、チタン、ステンレスの3種類のチューブを用い、低温腐食環境下での耐食試験を実施しました。CERASIC®-Bは全く浸食されていませんが、ステンレスは完全に穴が開いています。また、チタンはチューブ断面を見ると浸食が認められます。

(1)供試材料 
 ・CERASIC®-B
 ・ステンレス(SUS316L)
 ・チタン

(2)試験条件
 ・試験場所 : 清掃工場 急冷洗浄塔-吸収減湿塔間
 ・試験期間 : 約4ヶ月間
 ・排ガス温度 : 約70℃
 ・主な排ガス成分 : NOx SOx 塩素化合物等

(3)試験結果

用途例

ガラス溶解炉や焼却炉(一般ごみ、産業廃棄物、バイオマス)等の排熱回収

以下のPDFファイルは 日本山村硝子株式会社東京工場殿への導入事例です。
※サイズ3B-1020Lを10セット直列で繋いだ事例(現場見学も可能)

用語解説

シングルエンド型
パイプ形状の片方の端部を封じた構造で、試験管のような形状をいう。
常圧焼結炭化ケイ素
反応焼結炭化ケイ素や加圧焼結炭化ケイ素に対する言葉として用いられている。炭化ケイ素(SiC)は共有結合性の強い物質であり耐熱性に優れる反面、単独での焼結が困難であることがよく知られている。このため、かつては反応を利用したり加圧することにより製造していたが、40年ほど前にProchazka1)によりB-C系の焼結助剤による無加圧焼結(常圧焼結)技術が発表され、その技術は大きく発展してきた。焼結助剤としては、その他にAl-C系やAl-B-C系なども利用されている2)。          
                                                        1)S. Prochazka,R. M. Scanlan,J. Am. Ceram. Soc., 58, 72(1975)
                        2)日本学術振興会 高温セラミックス材料 第124委員会,“SiC系セラミック新材料”,内田老鶴圃(2001)pp.207-208
酸露点(腐食)
酸性系のガスが結露し、酸となって金属などを腐食すること。低温腐食ともいう。
第1種圧力容器
労働安全衛生法施行令第一条第五号にて規定している圧力容器。

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