アルミダイキャスト(ダイカスト)工程におけるアルミ溶湯保持炉の熱源には主に抵抗加熱式のヒーターが使用されていますが、その保護管にはセラミックスが用いられています。このセラミックスには耐熱衝撃性や強度が求められることから一般的には窒化ケイ素(Si3N4)が採用されていますが、熱伝導率が低くヒーター加熱による温度を溶湯アルミに伝達する点では不利であり消費電力が課題となっています。
これに対して炭化ケイ素(SiC)は窒化ケイ素と比較して熱伝導率は高いものの、アルミ溶湯保持炉の保護管としては強度が不足していました。CERASIC®-A はアルミ溶湯保持炉用保護管に求められる強度と窒化ケイ素の約3倍の熱伝導率を両立することにより、ヒーター加熱による熱効率を向上させ、省エネルギー化とヒーターの長寿命化を可能にしました。
*CERASIC®-Aは中部電力株式会社殿との共同開発材料です。

機能・特徴

熱伝導率及び強度
弊社の一般的な炭化ケイ素材料であるCERASIC®-B は熱伝導率の面では優れますが、アルミ溶湯保護管としては強度的に不十分でした。このため、新たに曲げ強さを600MPaまで向上させるとともに熱伝導率を窒化ケイ素の約3倍(67W/m・K)に維持した専用材料CERASIC®-Aを開発しました。

CERASIC®Aの熱伝導率及び強度

高熱伝導による効果
1.保護管内のヒーターの温度を低くすることができ、ヒーター寿命の向上が期待できます。
2.温度制御性が向上し、消費電力の削減が可能です。
形状・サイズ

材料特性

技術解説

炭化ケイ素(SiC)材料の種類
炭化ケイ素材料は、主に工法や組織構造によって表に示すように7種類に分類することができます。これらは用途や使用条件などにより使い分けられていますが、このうちCERASIC®-A及びCERASIC®-Bは常圧焼結炭化ケイ素に分類されます。

溶融アルミに対する耐食性
CERASIC®-Aは常圧焼結炭化ケイ素であることから、組織が緻密であり金属シリコン成分を含まないため、溶融アルミに対して高い耐食性を示します。

【溶融アルミ耐食試験結果】
(1)供試材料
常圧焼結炭化ケイ素CERASIC®-A
再結晶炭化ケイ素
反応焼結炭化ケイ素

(2)試験条件
溶融アルミ材質  A1050
温度  1000℃
浸漬時間  60min

(3)試験結果
CERASIC®-Aは溶融アルミの浸潤は無く、初期の組織を維持していることがわかります。これに対し、再結晶炭化ケイ素は気孔部にアルミが浸潤している様子がわかります。また、反応焼結炭化ケイ素は金属シリコン成分とアルミの反応が促進されて空隙部を生じ、溶融アルミの浸潤が進んでいることがわかります。

アルミ溶湯保持炉とは
アルミダイキャストは溶融したアルミを金型に圧入することにより寸法精度の高い製品を大量生産することが可能な工法です。アルミは溶融炉で溶融された後、金型に注入されるまでの間に冷えて固まるのを防ぐために一定温度に維持することが必要ですが、このために用いられる炉をアルミ溶湯保持炉と呼びます。アルミ溶湯保持炉はダイキャストマシンの近くに設置され、温度を管理しながら金型に溶融アルミを供給します。これに用いられるヒーターは設置位置により浸漬ヒーター、アンダーヒーターなどに分類されます。

アルミ溶融炉及び保持炉の構造

高熱伝導性による省エネ効果
CERASIC®-Aの高熱伝導性による省エネ効果を確認するために、実証試験を実施しました。図に示すようなアルミ溶融保持炉(溶融炉と溶湯保持炉が一体になったもの)にて、窒化ケイ素製保護管(熱伝導率22W/m・K)との比較を行いました。

実証試験炉の概要

(1)試験条件および測温位置

(2)試験結果
図にアルミ溶湯、CERASIC®-A保護管内部、窒化ケイ素保護管内部のそれぞれの温度及び消費電力量の推移を示します。アルミ溶湯温度を660℃一定に保つ様にヒーター出力が制御されますが、保護管材料の熱伝導率の違いにより保護管内部の温度に差異を生じ、CERASIC®-A保護管を使用した場合には消費電力量が約3%削減できることを確認しました。

アルミ溶湯及びヒーター保護管内温度推移

ヒーター保護管材料の違いによる消費電力比較

用語解説

反応焼結(法)
炭化ケイ素や窒化ケイ素など一般に非酸化物系セラミック材料に適用される、化学反応を利用した焼結方法。炭化ケイ素の場合、Si+C→SiCの反応を利用して焼結を進行させる。焼結促進のための助剤を使用しないため、純度の高い製品が得られる。
再結晶(法)
不活性ガス中あるいは真空中において焼結助剤を使用せずに高温で焼結させ、多孔質の焼成体を得る方法。原料粒子が比較的大きく、焼成収縮が少ないため焼成時の変形が少なく寸法精度に優れる。
常圧焼結(法)
大気下において、還元雰囲気、真空雰囲気など各種雰囲気中で焼結促進のための助剤を用いて緻密に焼結させる方法。複雑な形状に対応でき、量産に適している。
加圧焼結(法)
加圧することによって焼結させる方法。ホットプレスや熱間静水圧焼結などがある。ホットプレスは一軸で加圧するため、製品形状には制限がある。
気相成長(法)
原料ガスを基材表面に堆積させて薄膜を得る方法。高純度な薄膜を基材表面に形成することができる。

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